おすすめポイント
本書は若者も含めた多くの犯罪者の更生に関わる専門家です。他に「いい子に育てると犯罪者になります」「凶悪犯罪者こそ更生します」など、インパクトのあるタイトルの著書があります。
なぜこれがPaToCaの参考文献になるのか。そこには2つの面があります。1つには、毒親は子どもに「反省」させることが多いからです。
反省すること、それは当たり前に「良い」ことのようにも見えます。反省させる必要があるような場面というのは、何かしらその子が問題行動を起こしたはずです。
では、その問題行動を起こした背景には何があるのか。その問題をただそのまま反省させようとすると、その行動の背景に目を向けることができなくなります。
50.「子どもの問題行動はチャンスなのです。親は、なぜ子どもが問題行動を起こしたのかを考える機会を与えられたと考えるべきです。万引きや喫煙といった非行は問題行動ですが、見方を変えれば、しんどい気持ちを「発散」するという側面をもっています。」
56.「生き方を変えるチャンスは子どもの頃に問題行動を起こした時に、周囲の人がチャンスと捉えるかどうかが重要。」です。
しかし、9.「問題を抱えた人は、幼少期の頃から親に自分の言い分を聞いてもらえず、言いたいことを言おうものなら、すぐさま、親から「甘えるな」「口答えするな」と反省させられ、否定的な感情を心の中に深く抑圧していることです。したがって、否定的感情を外に出すことが、心の病を持った人の「回復する出発点」と考えるようになりました。」
と言います。本書は「犯罪者」について書いたものですが、実は著者は同時に、違う表れとして、「心の病」にもまえがきで言及しています。攻撃性が本質であり、外部に向かえば犯罪に、自分に向かえば自殺になると。子供が自己破壊的な行動を取る際には、自分の言動を省みる必要があるかもしれません。
ここまで述べたのは「毒親の子育てが、反省をベースにしていて、それゆえに子どもを加害的に育ててしまう」から、それを理解するためにこの本が参考文献として有効だからです。
もう1つの理由は「自分を毒親と認め学び変わっていくプロセス」を学ぶことができるからです。犯罪者の更生のプロセスに必要なことは、少なくとも最初は、反省ではありません。それよりも、自分の痛み、これまでの人生の傷つき、不平不満の感情、それこそ本書でも書かれている通り、被害者(子ども)へのネガティブな感情までもを認めることなのです。
自分の痛みや傷つきを認めることなしに、人の痛みや傷つきを認めることはできません。自分を大切にすることができた時初めて、人を大切にできなかったことの罪、傷つけてしまったことの罪と向き合う準備ができます。
そのような意味でも、本書はPaToCaの参考文献として重要な意義を持っています。
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「変わりたい」と願う毒親のためのコミュニティPaToCaの理論を学ぶにはこちらのページをご覧ください。